【ハラール知識】クルアーン、ハディースの中の食事規定

2020年2月9日ハラールの知識と知恵啓典の民,止むを得ない場合,死肉,神の名,,

ハラールの知識と知恵「クルアーン、ハディースの中の食事規定」

こんにちは!

クウェートのよしくんです。

 

今回はクルアーンやハディースの中の食事規定について一部を紹介します。

神に許された(ハラール)食べ物であるかを確認するにあたって、やはりまずはクルアーンやハディースでどのように言われているのかを見る必要があります。

お願い・本サイトはムスリムの方や飲食店の方が役立つようなムスリムの食事規定について紹介するサイトです。

・もし記事内の記述に誤りがありましたらぜひご指導ください。

・ムスリムの方や飲食店の方が役立つようなファトワーをご存知でしたら教えていただけると助かります。

 

クルアーンとは聖典クルアーンは預言者ムハンマドが唯一神(アッラー)から受けた啓示を文章にしたものです。預言者没語15年後ほどに直弟子であるウスマーンが編纂しました。新約聖書や旧約聖書が数世紀またいでから編纂されているのに対して、クルアーンは15年後と非常に早く、そしてクルアーンの文言を多くの人が丸暗記しているときに直弟子が編纂していますので、神の言葉を忠実に継承していると言われます。

ハディースとは預言者ムハンマドの言行録で、聖典クルアーンの次に重要視されているものです。預言者ムハンマドの残した言葉は多種多様で、時にはデマも流されることがありましたが、ハディース学者の血のにじむような努力によって各ハディースの信憑性が精査され、信頼度の高いハディースが現在まで残っています。スンナ派では6つのハディース集成書、シーア派では4つのハディース集成書が特に有名です。

食全般について

ムスリムの食事風景

まずは食全般についてのクルアーンの文章です。

※カッコ内の番号はクルアーン内の該当箇所の番号(ページ数みたいなもの)です。(二三:五一)なら、23章51節を示しています。

アーダムの子孫よ、何処のマスジドでも清潔な衣服を体につけなさい。そして食べたり飲んだりしなさい。だが度を越してはならない。本当にかれは浪費する者を御好みにならない。(七:三一)

食べたり飲んだりすることそのもの自体は大丈夫ですが、「度を越」すことはだめなようです。

 

あなたがた使徒たちよ、善い清いものを食べ、善い行いをしなさい。われはあなたがたのすることを熟知している。(二三:五一)

 

酒に関する規定

最初は酒に関しては、クルアーンを見ると徐々に啓示によって禁止へと向かったことが分かります。

また、ハディースにも強い禁止を表すものもあります。

かれらは酒と、賭矢に就いてあなたに問うであろう。言ってやるがいい。「それらは大きな罪であるが、人間のために(多少の)益もある。だがその罪は益よりも大である。」(二:二一九)
信仰する者よ、あなたがたが酔った時は、自分の言うことが理解できるようになるまで、礼拝に近付いてはならない。(四:四三)
あなたがた信仰する者よ。誠に酒と賭矢、偶像と占い矢は、忌み嫌われる悪魔の業である。これを避けなさい。恐らくあなたがたは成功するであろう。悪魔の望むところは、酒と賭け矢によってあなたがたの間に、敵意と憎悪を起こさせ、あなたがたがアッラーを念じ礼拝を捧げるのを妨げようとすることである。それでもあなたがたは慎まないのか。(五:九○~九一)
神の使徒はビドゥについて尋ねられたとき、「人を酔わせる飲みものはすべて禁じられている」と答えた(ブハーリーのハディース『真正集』

※ビドゥはハチミツから作られたお酒のこと。

徐々に厳しくなり、最終的にお酒が禁止になったことが分かります。

 

食肉に関する規定

豚肉、死肉、血、アッラー以外の名を唱えられたものが禁止されていることが分かります。

特に日本などでは、豚肉以外でも屠殺の際に神の名を唱えていないことが理由で食べないというムスリムの方もいます。

かれがあなたがたに、(食べることを)禁じられるものは、死肉、血、豚肉、およびアッラー以外(の名)で供えられたものである。だが故意に違反せず、また法を越えず必要に迫られた場合は罪にはならない。アッラーは寛容にして慈悲深い方であられる。(二:一七三)
あなたがたに禁じられたものは、死肉、(流れる)血、豚肉、アッラー以外の名を唱え(殺され)たもの、絞め殺されたもの、野獣が食い残したもの、(ただしこの種のものでも)あなたがたがその止めを刺したものは別である。また石壇に犠牲とされたもの、籤(くじ)で分配されたものである。これらは忌まわしいものである。(五:三)
言ってやるがいい。「わたしに啓示されたものには、食べ度いのに食べることを禁じられたものはない。只死肉、流れ出る血、豚肉―それは不浄である―とアッラー以外の名が唱えられたものは除かれる。だが止むを得ず、また違反の意思なく法を越えないものは、本当にあなたの主は、寛容にして慈悲深くあられる。」(六:一四五)
かれは只死肉、血そして豚肉、並びにアッラー以外の名が唱えられ(屠殺され)たものを禁じられる。だが欲望のためではなく、法を越えず、迫られて止むを得ない者には、本当にアッラーは寛容にして慈悲深くあられる。(一六:一一五)
またかれは、家畜をあなたがた(人間のため)に創られた。あなたがたは、それらにより暖衣や種々の便益を得たり、またそれらを食用とする。(一六:五)
アッラーの御使いは言われた。「アッラーはあらゆるものに対して慈しみ深くあるようお命じになりました。殺生する際には最も思いやりのあるやり方で殺しなさい。犠牲を屠る場合にも最も思いやりのあるやり方で屠りなさい。あなた方は誰でもナイフを研ぎ、屠られる動物の苦しみを最小限に留めてやりなさい。」(ムスリムのハディース『真正集』)

上記のクルアーンの言葉通り、「迫られて止むを得ない者」については考慮されることも書いてあるので、一概にどんな時もこれを守らなければいけないというわけではなく(災害時に食料がない場合など)、柔軟な選択ができるとも考えられます。

 

啓典の民の食べ物

キリスト教やユダヤ教は、同じ唯一神を信仰しており、イスラームからは「啓典の民」と呼びます。

その啓典の民の食べ物に関する文もあります。

今日(清き)良いものがあなたがたに許される。啓典を授けられた民の食べ物は、あなたがたに合法であり、あなたがたの食べ物は、かれらにも合法である。(五:五)

これを理由に、人によってはキリスト教国からの肉(オーストラリア産やアメリカ産)は問題ないとする場合があったり、欧米への旅行では食についてあまり気にしないという場合があります。

 

以上が、クルアーン、ハディースの中の食事規定の一部になります。

ハディースではまだまだあるかもしれないですね。

ぜひご参考にしてくださいね!