【ハラール知識】ハラール認証以前に、基本的に飲食物は神に許されているよねって話

2020年2月16日ハラールの知識と知恵

こんにちは!

クウェートのよしくんです。

 

今回はイスラーム法学にある「本来的許容性の原則(イバーハ・アルアスリーヤ)」という考えについて話していこうと思います。

日本では一般的に「ムスリム対応」と言うと「ハラール認証」ばかりが話題になりますが、それとは根本的に対になる考えかと思います。

 

それゆえ、ものすごく重要です。

ムスリムが食べるものを「制限されている」と考えるのは、実はちょっと違うかもしれません。

では確認していきましょう!

お願い・本サイトはムスリムの方や飲食店の方が役立つようなムスリムの食事規定について紹介するサイトです。

・もし記事内の記述に誤りがありましたらぜひご指導ください。

・ムスリムの方や飲食店の方が役立つようなファトワーをご存知でしたら教えていただけると助かります。

 

本来的許容性の原則(イバーハ・アルアスリーヤ)とは何か

本来的許容性の原則(イバーハ・アルアスリーヤ)とは、明確に禁止されていない場合は基本的に許されているという考え方です。

イスラーム法においては、神の視点から見て人間の行動を5つに分けています。

神から見た人間の行動分類1.義務(ファルド、ワージブ):しなければならないこと

2.推奨(マンドゥーブ):しなくても構わないが、したほうがよいこと

3.中立・許容(ムハーブ):してもしなくてもどちらでもよいこと

4.忌避(マクルーフ):しても構わないが、やめておいたほうがよいこと

5.禁止(ハラーム):してはならないこと

 

このうち、明確な規定がないものに関しては3の「許容」に分類されます。

というのも、神が望まない行為に関しては明確な指示があったはずだと考えるからです。

この「明確に禁止されていない時には許容される」という考えを「本来的許容性の原則(イバーハ・アルアスリーヤ)」と言います。

 

ハラール認証とイスラーム法との明確な違い

ハラール認証とイスラーム法内での規定には大きな相違があります。

ハラール認証とイスラーム法の違い

・ハラール認証

禁止が前提。一定基準を設けて一律に制限し、それをクリアしたものを認証品とする。

・イスラーム法での規定

許容が前提。明確に神に禁止されたものは禁止。それ以外は基本許されている。

 

よく言われる「ハラール(許されている)」に当たるものは先ほどの表の1~4(義務、推奨、許容、忌避)に当たると言われ、禁止(ハラーム)は5に限られるはずなんですよね。

また、神によってその行動が許されるかどうかも、状況によって変化します。

かれがあなたがたに、(食べることを)禁じられるものは、死肉、血、豚肉、およびアッラー以外(の名)で供えられたものである。だが故意に違反せず、また法を越えず必要に迫られた場合は罪にはならない。アッラーは寛容にして慈悲深い方であられる。(二:一七三)
言ってやるがいい。「わたしに啓示されたものには、食べ度いのに食べることを禁じられたものはない。只死肉、流れ出る血、豚肉―それは不浄である―とアッラー以外の名が唱えられたものは除かれる。だが止むを得ず、また違反の意思なく法を越えないものは、本当にあなたの主は、寛容にして慈悲深くあられる。」(六:一四五)
かれは只死肉、血そして豚肉、並びにアッラー以外の名が唱えられ(屠殺され)たものを禁じられる。だが欲望のためではなく、法を越えず、迫られて止むを得ない者には、本当にアッラーは寛容にして慈悲深くあられる。(一六:一一五)

死肉、血肉、豚肉、アッラー(神)以外の名が唱えられ(屠殺され)たものは5の禁止(ハラーム)に当たりますが、それらであっても必要に迫られた場合には神に許されることが明示されています。

 

そのため、ハラール認証のように状況を踏まえずに「あれもダメ」「これもダメ」という基準を作るのは、ある意味おかしな話でもあります。

 

特に食肉以外でハラール認証を取るのは一度充分検討したほうがいいです。

時折、ハラールお米やハラールお茶なんかを見かけますが、植物に関しては人体に害がない限り基本大丈夫なはずです。

むしろそこまで気にする人はごく少数だと思います…

 

ぜひご参考にしてくださいね!