【ハラール知識】法学的にアルコールの扱いや「酩酊」はどのラインなのか
こんにちは!
クウェートのよしくんです。
今回はアルコールや「酩酊」に関する内容です。
16世紀にはイスラーム世界でコーヒーやコーヒーハウスを禁止すべきかどうなのかの論争があったのですが、それに関する本を読んでいたところ、飲酒に対する各イスラーム法学派の見解がありましたので紹介します。
アルコールに関してはかなり考え分かれるところですよね。
食事に関するを考え出すと途方もないもので、例えばソフトクリームやアイスを食べたいと思ったときにバニラが候補になると思いますが、バニラエッセンスはアルコール含みます。
厳密に見ていくと相当困難な作業になりますが、各イスラーム法学派ではどんな見解が出ているのでしょうか。
確認していきましょう。
・もし記事内の記述に誤りがありましたらぜひご指導ください。
・ムスリムの方や飲食店の方が役立つようなファトワーをご存知でしたら教えていただけると助かります。
争点:クルアーンに出てくる「ハムル」とは何を指すのか
前回の記事「クルアーン、ハディースの中の食事規定」で各文章を紹介した際には分かりやすく「酒」と書いていましたが、厳密には「ハムル」というブドウの汁で作ったお酒になります。
そのため、この「ハムル」の定義づけによって、どこまで禁止するのかが変わってきます。
3法学派:沢山飲んだ場合に酔っぱらってしまう飲み物は禁止
マーリク学派、シャーフィイー学派、ハンバル学派の場合、原則はほぼ同じ見解のようです。
・どれくらい飲もうが
沢山飲んだ時に酔っぱらう飲み物は禁止
ここで問題となるのは「沢山飲んだ時」の「沢山」とはどれくらいの量なのか、酔っぱらった状態とはどのような状態を指すのかですよね。
「沢山」とはどれくらいか
この3法学派が判例としている最も厳しいハディースだと、
とのこと。
ただし、1フルクという単位の量がどのくらいなのか分からないようですね。
酔っぱらった状態とはどのような状態か
酔っぱらった状態に関しては各法学基準があるようで、マーリク学派とシャーフィイー学派に関しては以下のようです。
とにかく、飲んで酔っぱらうものは避けるべきですね。
しかしながら、ここでは飲み物の話なので、食事に使われるアルコールに関してはファトワーちゃんと見て判断したほうが良さそうです。
こちらに関しましては別の記事でいずれ書こうと思います。
ハナフィー学派:ハムルは厳密に定義、定義外のものは乱用・飲み過ぎなければOK
オスマン帝国の公認学派であったハナフィー学派は、他の学派と異なり「ハムル」を厳密に定義するようです。
これに関してはちょっと驚きました。
2.加熱したぶどうジュースの発酵飲料で、もとの量の3分の1以上は残っているもの
3.ナツメヤシから作った(加熱していない)酒
4.乾ぶどうの(加熱していない)発酵液
詳細な条件に関しては、
・対象ではないものも、飲む量は酔わない程度に限る
・ビドゥ(ハチミツの浸出液)、小麦、大麦、イチジク、キビなどの浸出液は加熱されていなくても問題なし
・3分の2を蒸発させてその後発酵させたぶどうジュースも最終的に認められている
とのこと。
これに関しては、「ハムル」という単語がアラビア語学者に倣って特別な意味を持っているとし、法規制上は他の物質には適用すべきではないという見解のためだそうです。
また、預言者ムハンマドが西暦632年の最後の巡礼月期間中にナビーズ・アルスィカーヤという飲み物を飲んだこと、2代目カリフのウマルが消化を助けるためにアルコール分を含む飲み物ムサッラスを自分で飲み、人にも勧めめたという例も引用してこのような判断に至っているようですね。
本質的に「ハムル」に当たるものが禁止されているので、発酵させてアルコール分を得たぶどうジュースは、その後アルコール分を飛ばしたとしても飲むことは禁止されます。
ハムルの定義に当てはまらないものは乱用したり飲み過ぎることがなければ合法となるようです。
これは意外だ…
酔っぱらった状態の定義
酔っぱらった状態の人の定義は、アブー・ハニーファがみなすところだと以下のようです。
ハナフィー学派としての見解は、
とのこと。
ハナフィー学派だけ酔いつぶれるラインまでで、かなり異なるのが驚きです。
以上が、アルコールの扱い、特に飲料に関してや「酩酊」に関する話でした。
もし他に法学説について情報ありましたら情報ソースもらえますと大変助かります。
ぜひご参考にしてくださいね!
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